立番を離れれば死罪。
それでも、動かねばならない時がある。
山本周五郎『夏草戦記』は、戦国の山野を舞台に、
掟と忠義のあいだで引き裂かれる若い武士・三瀬新九郎を描いた名作です。
伊達政宗の家臣・小谷弥兵衛の一隊は、敵地へ向かう危険な山間道を進んでいました。
厳しい軍律のもと、立番を離れれば理由を問わず死罪。
そんな中、旅の娘・初が一隊を追い、かつて助けてくれた新九郎との再会を願います。
しかし隊内には、敵へ情報を流す内通者の影がありました。
やがて新九郎は、掟を破れば自らが死罪となると知りながら、
それでも動かずにはいられない局面へ追い込まれてゆきます。
戦場で試されるのは、勇気だけではありません。
何が忠義か。何が正義か。
そして名もなき者の死を、誰が記憶するのか。
どうぞ最後までお聴きください。
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📚登場人物
三瀬新九郎(みせ しんくろう)
若い武士。誠実で実直。やがて重大な決断を迫られる本作の中心人物。
初(はつ)
柴田生まれの娘。父の遺骨を背負い、一隊を追って山道をゆく。
小谷弥兵衛(こたに やへえ)
伊達政宗の家臣。侍大将。一隊を率いる部将。
相良官兵衛(さがら かんべえ)
副将の一人。尖鋒隊を率いる。
吉岡小六(よしおか ころく)
副将の一人。
戸田源七(とだ げんしち)
新九郎の友人。彼の運命に深く関わる。
伊達政宗(だて まさむね)
奥州の雄。本作では直接の主君側にあたる。
岩城貞隆(いわき さだたか)
敵方勢力として名が出る武将。
📚用語集
立番(たてばん)
警戒・見張りの持ち場につくこと。
立哨(りっしょう)
哨戒任務。見張り番。
尖鋒隊(せんぽうたい)
本隊に先立って進む先行部隊。
間道(かんどう)
人目につきにくい裏道・山道。
白石城(しろいしじょう)
一隊が狙う軍事上の重要拠点。
死罪(しざい)
死刑。軍律違反への最重処分。

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