花粉症は、国民の約4割が罹患(りかん)していると言われ、大きな社会問題となっております。
このような状況の中、静岡県農林技術研究所森林・林業研究センターでは、平成20年度(2008年)から無花粉スギの開発に着手しております。
これまでに当センターが開発に携わった無花粉スギで国の基準を満たすと認められたものは8品種あり、令和6年度に新たに4品種が追加されて累計12品種となるなど、研究開発としては一定の水準に到達しております。
このような中、令和7年3月13日(木)に林野庁 関東森林管理局 天竜森林管理署の御協力の下、「無花粉スギに関する勉強会」を開催しました。
勉強会では、無花粉スギの活用方法や、増殖するうえでの課題等を学びました。
なお、無花粉スギを増やす方法については、「種で増やす方法」と「挿し木(クローン)で増やす方法」があります。それぞれに長所・短所がありますが、今回は、挿し木で増やす方法を実際に体験しました。
挿し木は、九州では一般的なスギの増殖手法ですが、本県の林業では馴染みがないため、参加者は初めての体験に戸惑いながら、作業を行いました。
<林野庁資料の出展詳細>
林野庁ウェブサイト(https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/)
<関連リンク>
●天竜森林管理署 勉強会報告
https://www.rinya.maff.go.jp/kanto/tenryu/news/attach/pdf/index-14.pdf
●冊子「花粉症対策に朗報!無花粉スギ優良品種の開発」
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/057/438/mukafunsugi.pdf
●令和7年春の花粉飛散予測
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/046/795/r6kahunyosoku.pdf
<挿し木の手順>
0.時期
・静岡県では2~3月の採穂、挿し付けが適期。
・春まで発根しないものの、作業自体は、植物体の休眠する晩秋以降であれば可能。
1.穂木の採種
・クローン元となる親木の枝先を採取する。採穂(さいほ)。
・枝には、上方に伸びようとするものと、横に伸びようとするものがある。採穂するのは前者。穂の軸を回転させ、元の上下かハッキリしないものが、それに当たる。
・挿し付けるサイズで採穂すると切り口から乾燥してしまうため、この時点では一回り大きく採る。荒穂(あらほ)と呼ぶ。
・乾燥しないうちに次の手順に移る。
2.挿し床の用意
・根が張るための深さのある容器を選ぶ。
・本勉強会では、赤玉土:鹿沼土=1:1(容積比)の割合。
・肥料分のある土は使わない。発根前の穂は弱く、雑菌の繁殖で病気にかかる恐れがある。
・スギは比較的発根率が良いため、本勉強会では、発根促進剤は使用しなかった。発根率の低い系統を用いる場合はこの限りではない。
・あらかじめ土の下から水が溢れ出るまで、たっぷり潅水する。
3.穂づくり
・荒穂(あらほ)から挿し穂(さしほ)を作る。
・挿し穂は長さ20cmほど。
・長さ20cmほどの剪定ばさみを物差しとして使うと効率が良い。
・下から1/3ほどの側枝を切除する。
・切り口を楔(くさび)形に切る(返し切り)と発根率が高まると言われている。
・カットは、軸の木部が見えるまで深く切る。
4.挿し付け
・均等に配置するよう、育苗箱に割りばし等を並べ、挿し付け列を作る。
・植え付けは、奥の列から手前に順々に植えると効率的。
・植え付ける際は、穂を傷めないよう、割りばし等で挿し付け穴をあける。
5.完成
・最後に、再びたっぷり潅水してハウス内へ静置する。
・秋以降に根の出たものを、林業用コンテナに植え替える。
・植え替えから一夏越えれば根鉢が充実し、出荷可能となる。

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