世界に14座しかない標高8000メートルを超える山のうち13座を制覇し、完全制覇に王手を掛けた福岡県出身の女性がいます。9月に登山許可を取得し、最後の1座の頂を目指します。

■渡邊直子さん(41)
「2回目のK2~!登頂したぞ~。やったー!長かったー!」

標高8611メートルの氷点下の世界が広がるのは、遭難者も多く、非情の山とも言われる世界2位の山、K2です。

ことし7月、2度目の登頂を成功させた女性は、身長156センチの小柄な姿からは想像もできない記録を成し遂げているのです。

取材したのは、現役の看護師であり、登山家でもある渡邊直子さん(41)です。

■渡邊さん
「皆さんが普段やっていることがなくされたら困るように、私もヒマラヤ行くことがなくされたら困るぐらいの、生活の一部に、人生の一部になってるから。」

渡邊さんは、福岡県大野城市生まれです。小学生のころから海外の山にも遠征する団体に参加していました。

けれど学校では、周囲になじめない性格でした。

■渡邊さん
「引っ込み思案でいじめられっ子だったんですけど。」

山登りが生きがいとなり、渡邊さんの生き方を変えることになりました。

■渡邊さん
「(登山は)窮地に追い込まれる場面がいっぱいあるじゃないですか。その時に、新しい自分を発見できたりするんですよね、知らない自分を。基本自分に自信なくて、自分のことあんまり好きじゃないので。自分を好きになりたい。」

登山家としてのキャリアは華々しいものでした。24歳から17年間のうちにエベレストを筆頭に、世界に14座存在する8000m峰のうち、すでに13座を制しています。

■渡邉さん
「今から、マカルー頂上にアタック出発します。」

ことし5月には日本人女性として初めて、標高8463メートル、世界5位のマカルー2度目の制覇を果たしました。

そして、9月21日から残りの1座に挑んでいて、登頂できれば日本人女性として初めての快挙になります。

■渡邉さん
「(Q. これ何ですか?)これ登頂の時に着てるダウンスーツです。ちょっと古いのでダウンがだいぶ弱ってますけど、いろんな山を登頂してきたやつです。」

渡邊さんが見せてくれたのは、氷点下の世界をともに耐え忍んできたダウンスーツです。

■渡邊さん
「(Q. 暑かったり寒かったり大変じゃないですか?)大変なんですけど、体調管理とかね、気温の管理は結構しっかりやるタイプ。それによって結構変わってくる、体力消耗とか。」

現役の看護師としての知識を活かし、一緒に山に登る“異国の仲間”を救うこともあるんだそう。

さらに、ベースキャンプでは、ともに山を登るシェルパたちに日本食をふるまうなど、“食”についてもこだわりがあります。

■渡邊さん
「実際高所行くと、食欲がなくなるんですよ、脳が圧縮されたりとかして。私はもう絶対食べなきゃいけないって分かってるから、ずっと無理しても食べるっていうのが結構こだわりかな。」

魚のオイル漬けは大のお気に入りで、毎回欠かさず持参するといいます。

■渡邊さん
「何よりもこのオイルサーディンがおいしく感じるんですよ。」

8000メートルを超える山を登るためには、約2か月山で過ごすことになります。仲間と過ごす山での時間が長くなるため、気をつけていることがあると言います。

■渡邊さん
「ストレスをためないことがすごく大事。ストレスが高山病に直結するって思うんですよ、今までの経験で。すごく精神的な面の役割が大きいから、ストレスない生活をすることを心がけています。できないことも経験になるから、最初から全部準備して行くんじゃなくて、とりあえず行って、できなかったら周りが助けてくれるんだから、教えてくれるんだから、それでいいって感じ。(Q. 経験しながら学んでいく?)そうです、失敗したほうが覚えるし、そっちのほうが面白エピソードいっぱいできるし。」
「(Q. 何歳まで続けたい?)いけるまで!自分がいけるまで。8000m峰はやめないと思いますね。楽しい。」

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