梓弓―悪魔祓い ―唄、箏、十七絃、梓弓のためのー(虚階版初演)
詞:以呂波誦文、曲:菅野由弘、歌:下野戸亜弓、箏:深海さとみ、十七絃:黒川真理
日本歌曲協会主催( http://www.nikakyou.org )
<第16回邦楽器とともに・誕生100年!十七絃の響きにのせてⅢ>より(動画③)
2021.10.28(木)東京文化会館・小ホール
映像制作 公益財団法人日本伝統文化振興財団
【解説】
梓弓(あずさゆみ)は、縄文時代の出土品にも弓とおぼしきものが有り、銅鐸に絵があり、埴輪にも弓を持つ武人像がある。弓の材料としては、当初、竹よりも梓が多かったため、弓と言えば梓弓となったようである。弓は狩猟の道具であるが、そこから音が出る、音を聴こうとしたことは、洋の東西を問わない。が、一方で狩猟の道具は、人も殺せる事に気づき、使われた。「伊勢物語」や「葵の上」に登場する「梓弓」、表層的には愛と死の物語だが、深奥にあるのは「血みどろの死」の姿である。そうでなければ「梓弓」を登場させる意味がない。一方「血塗られた死」への恐れから「祈り」を発し、その発露として「交霊」を行ったのが、イタコの巫女ということになる。その巫女が使用している「梓弓」を、音楽学者の茂手木潔子さんが正確に復元製作した。それを使って、このコロナ禍に「悪魔祓い」を試みた作品である。
(曲 菅野由弘)
【詞:以呂波誦文】
イタコの経文
一の弓 先ず打ち鳴らすの初音をば この室の神々まで請じ入れ申そ
いろはにほへと
以呂波誦文
あめつちほしそら(天地星空)
やまかはみねたに(山川峰谷)
くもきりむろこけ(雲霧室苔)
ひといぬうへすゑ(人犬上末)
ゆわさるおふせよ(硫黄猿生ふせよ)
えのえをなれゐて(榎の枝を馴れ居て)
〜虚階〜(ここから、無言で行う)
イタコの経文
二の弓の音ごえをば 所の神々まで請じ入れ申そ
祓いたまえ 清めたまえ
ひふみうた
ひふみ よいむなや こともちろらね
しきる ゆゐつわぬ そを
たはめくか うおえ にさ
りへて のます
あせゑ ほれけ
イタコの経文
三の弓の響きをば 日本は六十六カ国 数の垂迹から和光同塵で請じ参らせ候とや
〜虚階〜ここまで
陰陽師呪文
元柱固具、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、奇動霊光四隅に衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉る
(がんちゅうこしん、はちぐうはつき、ごようごしん、おんみょうにしょうげんしん、がいきをゆずりはらいし、しちゅうしんをちんごし、ごしんかいえい、あっきをはらい、きどうれいこうしぐうにしょうてつし、がんちゅうこしん、あんちんをえんことを、つとみてごようれいしんにねがいたてまつる)
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いろはにほへと ちりぬるを (色は匂へど 散りぬるを)
わかよたれそ つねならむ (我が世誰そ 常ならむ)
うゐのおくやま けふこえて(有為の奥山 今日越えて)
あさきゆめみし ゑひもせすん (浅き夢見じ 酔ひもせず)
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