パリ五輪選考レースも1年3カ月あまりが経過。伊藤の試合を見ていて気になるのは、セオリーを覆す奇想天外なプレーが影を潜めていることだ。
「以前と比べると、粘り強さが減り、あっさり負けることが多くなったような気がします。余裕があるときは、試合のなかで驚くようなプレーができているんですが、今は『思い切ったな』とか『弱気だな』程度。予想範囲内のプレーが多く、相手にもプレーが読まれやすいような印象です」
「伊藤選手はサービスがうまい選手なので、対戦すればするほど、(相手は)サービスに慣れる。最近の選考会を見ていて感じるのは、みんな徹底して伊藤選手の弱点を攻めているという点。伊藤選手自身も、みんなが同じような攻め方をしてくるときっと感じているはず。相手の戦い方を見て試合のなかで自分自身のプレーを変化させなければいけないし、それが出来る選手なんですが、出せていない。新しい戦術やテクニックを見せられたらいいんでしょうけど、試合数が多いと、集中して時間をかけて練習する時間がない。短期間で身についたことを大事な試合でやることほど勇気がいるものはないので、今持っているスキルで勝負するしかない。
ただ、選考ランクも3位に上がってきて、ある程度、余裕も生まれていると思うんです。だからこそ、1試合負けてもいいからいろいろ試しにいって、次につながる試合ができたら、また本来の伊藤選手らしいプレーが出て、勝てるようになるんじゃないでしょうか」
前述の通り、直近のTリーグ個人戦・ノジマカップ女子シングルスでは準優勝だったが、それでも準決勝では代表選考レースで独走する早田をフルゲームの末に撃破するなど、浮上の兆しを見せている。
五輪選考レースラストの来年1月、全日本選手権まで残り半年あまり。
金メダリストが、逆襲を期す。
2022年3月から始まった日本卓球女子のパリ五輪代表選考レースは、現在、早田ひながポイントランキングで独走し一歩リードしている状況だが、シングルス代表の座を争う2位以下は大混戦となっている。そこで気になるのが、東京五輪で夏季五輪日本女子初となる金銀銅メダルを獲得したエース・伊藤美誠の状態だ。

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